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2004年2月11日

宮沢賢治 生誕108周年

あまり「好き好き!」と周囲の人に公表しているわけではありませんが、実はすごく宮沢賢治の作品が好きです。あえて「作品」と書いたのは「宮沢賢治の人となり」への想いとは別に、ということでして賢治自身についてはまあそのうち書くこともあるでしょう、という気持ちです。

 さて、主題の通り今年は「生誕108周年」なんだそうで、108って数字は100よりも賢治っぽくていいかも知れないなぁと思いますねぇ。

 賢治の作品は教科書なんかで知られている作品がやはり「好き!」という方が多いのですが、私は単純にはそうでもありません。銀河鉄道の夜はいくつもある断片を彼の死後に順番を予測して再構成したものであってまったくもって<完成>されたものではないし、雨ニモ負ケズは「詩」というよりは手帳に書きつけた決意文のようなものです。もちろん賢治の精神世界を非常によくあらわした作品であるし私も大好きなのですが、なぜ<未完成>であることを前提に教科書に取り上げないのだろうかと思うことがあります。その未完成なところまでが賢治の世界であると思えばこそ、そう思うのです。「永訣の朝」も「松の針」「無声慟哭」という同じ1922.11.27に書かれた他の2作品とワンセットにしてひとつの精神世界なのだと教えて欲しいなとか。わはは、ホントに好きなんですよね〜。まあ、単にマニアックなだけだと思うので気にしないでください。

 おすすめっていうか、ぜひこのご時世に読んで欲しいのは「ビヂテリアン大祭」かな。体の十数%が牛丼とマクドで成長している私が勧めるのも変ですが、あらためて「命」について考えさせられます。

 詩編では「疾中」と呼ばれる作品群をぜひ読んで欲しいです。理想と宗教に生きた賢治が突きつけられた死への現実。「眼にて云ふ」「(その恐ろしい黒雲が)」「(丁丁丁丁丁)」「(風がおもてで呼んでゐる)」「夜」「病中」「(そしてわたくしは間もなく死ぬのだらう)」・・・生と死の境界線においてはじめて生きることのなんたるか、自分のなんたるかを読み手も突きつけられる作品たちです。

 最後に私の一番好きな賢治の詩 
 春と修羅 第二集 314番(1924.10.5)

 夜の湿気と風がさびしくいりまじり
 松ややなぎの林はくろく
 空には業の花びらがいっぱいで
 わたくしは神々の名を録したことから
 はげしく寒くふるえてゐる

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コメント

賢治の詩では
高原淑女
日ざしがほのかに降ってくれば
またうらぶれの風も吹く
にわとこやぶのうしろから
二人のおんながのぼって来る
けらを着粗い縄をまとい
萱草の花のようにわらいながら
ゆっくりふたりがすすんでくる
その蓋のついた小さな手桶は
今日ははたけへのみ水を入れて来たのだ
今日でない日は青いつるつるの蓴菜を入れ
欠けた朱塗の椀をうかべて
朝の爽やかなうちに町へ売りにも来たりする
鍬を二挺ただしくけらにしばりつけているので
高原の淑女よ
あなたがたはウクライナの
踊手のように見える
……風よたのしいおまえのことばを
もとはっきり
この人たちにきこえるように云ってくれ……
というのが好きです。
そのほか「もう働くな」「ぜんそじゅきん」
「野の師父」「はらたいけんばいれん」
「お前のバスの三連音が…」というのが好きです。
入沢康夫だか天沢たいじろうだかが、
推敲してるプロセス全体を作品として読まなくては、
いけないと言うようなことを言ってましたね。
自分は、山尾三省の「春と修羅序」でしたでしょうか、
わたくしという現象が…という詩を解説したものにうならされたことがあります。とにかく僕も賢治は好きです。

faceさんコメントありがとうございます。

賢治の推敲のあとを全集なんかで追いかけると、いろいろな事がわかってきて面白いです。推敲前の方がいいじゃん、とか思ったり(笑)文語詩もなかなかいいものがあるんですが有名じゃない。やはり童話・ロマンチックというイメージが先行しすぎているような気がします。賢治の詩に見え隠れする死と隣り合わせだから美しい生。修羅と彼が呼ぶ精神状態。現代社会にも教訓となりうる詩をもっとみんなに知って欲しいと思っています。

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